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心臓神経症

公開日: 2016-09-13
更新日: 2024-05-01

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石本 佳代 院長

心臓神経症とは

心臓などに機能的な異常がないにもかかわらず、動悸や胸の痛みなど、心臓に関する症状が繰り返しあらわれる疾患です。狭心症と症状が似ていますが、心臓を覆う血管(冠動脈)が狭くなり、血流が滞ることが要因で起こる狭心症とは異なり、心臓神経症は心理的なことが要因となって起こると考えられています。多くの場合、抑うつや不安、不眠といった、さまざまな精神症状をともないます。

原因

多くは自律神経の乱れが原因と考えられています。自律神経には交感神経と副交感神経があり、この2種類の神経がバランスよく働くことで、体温や心拍をはじめとした、身体の内部のあらゆる状態を適度に保っています。この自律神経のバランスが、ストレスや疲労、睡眠不足などの生活習慣の乱れなど、何らかの原因によって正常に働かなくなることで、心や身体にあらわれるさまざまな不調があらわれます。

症状

自律神経が乱れると、心や身体にさまざまな不調があらわれますが、心臓神経症では、特に心臓に関連した以下のような症状があらわれます。また、症状が長時間続き、繰り返し起こる、不安やストレスを感じたときに強くあらわれるなどの特徴があります。
 
〇 主な症状

  • 胸の痛み
  • 胸の不快感
  • 胸の圧迫感
  • 動悸
  • 不整脈
  • 呼吸困難
  • めまい

など

胸の痛みは、「ズキズキ」「チクチク」など、刺すような痛みであることが多く、その場所を手で圧迫すると、痛みが強くなることがあります。

検査・診断

血液検査や心電図検査、胸や腹部の超音波(エコー)検査、レントゲン検査、CT検査などの画像検査、胃の内視鏡検査などで、主に心臓や消化器をはじめとした、身体の機能的な異常がないかを確認します。このような検査で異常が確認されず、特定の身体的な疾患ではない場合に、心臓神経症と診断されます。

治療・治療後の注意

治療には大きく分けて「精神療法」と「薬物治療」があります。

精神療法

ストレスや疲労の原因になることがあれば、それらをコントロールする または できるだけ取り除きます。また、睡眠や食事習慣などの生活習慣に乱れがあれば整えます。悩みや不安など精神的な問題が強い場合は、医師や臨床心理士によるカウンセリングを受けるのもよいでしょう。

薬物治療

特別な治療薬はありませんが、対症療法として薬が使われます。具体的には、不安をやわらげるための抗不安薬や抗うつ薬、動悸の症状が強い場合には心拍数を抑える薬など、症状に応じて処方されます。

予防

多くは、自律神経の乱れが原因であると考えられるため、自律神経の働きを正常に保つことが予防につながります。そのためには、十分な休息をとるなどして、できるだけストレスや疲れを溜めないようにしましょう。そのほかにも睡眠や食事習慣などの生活習慣に乱れがあれば改善しましょう。
 
また、運動をして汗をかくことは、体温調節の機能を正常に保ち、自律神経のバランスも整いやすくなります。ウォーキングや室内でできるストレッチ・軽い体操、日常でなるべく歩く・階段を使うなど、無理なくできる適度な運動をするのもよいでしょう。

医師紹介

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石本 佳代 院長
愛媛大学医学部卒業

2011年 都立松沢病院精神科医長、2020年 やまでらクリニック院長。精神科指導医(日本精神神経学会)、認定産業医(日本医師会)、精神保健判定医(厚生労働省)。専門分野は児童精神科、漢方精神科。